股関節の痛い方がたくさん来院されています。ちょっと筋力の落ち始めた40代前後の女性に多く、痛みは一般的に強いようです。股関節の痛みが必ずFAIであることは無くて、臼蓋形成不全や大腿骨骨頭壊死、子供であればペルテス病や大腿骨骨頭辷り症など全く別の症状が隠れていることもあるので、そのような病気が疑われる場合、寿晃整骨院では紹介状を作成し、医療機関に紹介させていただきます。
股関節は太ももにある大腿骨と骨盤の間にある関節です。重い体重を受けるのでとても丈夫にできています。たくさんの筋肉によってバランスよく支えられていますが、筋力が弱まると骨に負担がかかりすぎて痛みが出てきます。骨は痛みを感じるセンサーが多く、逆に軟骨などにはそのセンサーが無いので変性が起こっても痛みを感じにくいようにできています。
この図で、大腿骨側にある青色の表示はCam型と言われるスポーツ選手に多い場所になります。サッカー選手など成長期に痛みがあるまま無理をしてスポーツを続けると骨が変形し、最悪の場合、手術して形を整えなければ骨の衝突が取り除けないことがあります。
筋力の落ち始めた女性の股関節の痛みでは、ピンク色で表示しているPincer型といわれる骨盤側の股関節の受皿側(臼蓋)に問題があり痛みが発生します。徒手検査と言われる器械を必要としないテストでも可動域(ROM)を確認するときに痛みが発生すればFAIがあると考えられます。でも、多いのはこの両タイプのミックス型だそうです。衝突すれば両方に影響が出るのでしょう。
レントゲンで骨自体に変形が見られることもありますし、MRIで関節唇、関節軟骨の変性が見つかることもあります。また、痛みは強いけれど、これらの画像診断では異常がないことも多いようです。
↓江戸川病院ホームぺージ(FAIについてとても分かりやすくまとめられています)
↑NHKニュース 芸術はバランスだ! 石積みアートの魅力より画像を拝借
この症状の70~80%は、運動療法によって治ると言われています。上半身の体重は股関節を支点にして下肢に伝えています。股関節のある骨盤の角度が前や後ろに傾きすぎると受け皿である臼蓋の向きが体重を受けるには良くない角度に向いてしまいます。いわゆる反り腰の形は、骨盤が前に傾きすぎて臼蓋の前側が飛び出てしまいます。このような状態が続くと付近に炎症が起こり、車へ乗り降りをしたり、深い角度に股関節を曲げたりすると関節の縁で衝突や軟部組織に痛みが起こります。この状態がFAIの始まりです。
骨盤を支える筋肉は、体幹筋といわれる腹筋を中心とした筋肉です。そして股関節を動かす筋肉もトレーニングします。当院では、FAIを徒手検査で見つけたときには、痛みのために固まってしまっている大腿部や臀部の筋膜や皮膚をリリースし、動きやすくしたうえで、運動療法の指導をさせていただきます。股関節周辺に痛みを感じておられる方は、ぜひご相談ください。
寿晃整骨院 総院長 木下広志