失われた30年という言葉が定着している日本ですが、日本の状況について自分の意見を書いてみようと思います。私はかなりのポジティブシンキングの持ち主なので、これを読まれた方はその辺りを十分ご理解の上、様々な判断をしていただければと思います。
寿晃整骨院が開業して30年が経過しました。この「失われた30年」の間に、私は新規事業を開始したことになります。最初の10年は若さで押し切り、次の10年で若手の育成、最後の10年は若手へお願いして寿晃整骨院は30年を迎えることができました。最初の10年間で腰痛や肩関節の痛みなど、ひどい症状では医療連携で医療機関に紹介させていただき、当院で対応できる症状であれば、私どものほうで施術させていただいてきました。
自分の施術を過信せず、効果があるかどうかを重要視して施術をしてきたつもりです。そして、その施術方法を若手でも再現性があるように検査で見つけた異常に対して、アナトミートレインや経筋といった理論を基にした施術方法で組み立てたのが寿晃整骨院のやり方です。今回「グローバルニッチトップ企業100選」の情報に接して、自分の得意な運動器系の痛みに特化して施術するという寿晃整骨院の狙いとニッチな部分で結果を出している日本経済は同じ方向性なのかもしれないと感じたのでこのような文章を書いてみました。
先日見た、「グローバルニッチトップ企業100選」という資料にあるグラフは、縦軸に世界市場規模、横軸にマーケットシェア(世界市場占有率)で作られています。日本企業の特徴は横軸のマーケットシェアが高く、売上金額が低い(といっても世界市場相手なので十分大きな売り上げですが…)企業がひしめいていることにあります。つまり、日本のすき間産業、いわゆるニッチな商品の世界市場占有率がとても高いということです。
あの有名なイェール大学助教(アシスタントプロフェッサー)の成田悠輔さんも3月24日のTwitterで、「日本経済が実は世界一のものがある。「経済の複雑性」なる指標で、他の国では作られてない製品・技術をどれくらい製造して輸出できてるかを測ったもの。この指標で日本はずっと世界一で、最近その独走感が高まってる。誰も手をつけない領域ばかり深掘りしまくってる変人が日本の産業なのかもね。」とつぶやいておられました。
また、カリフォルニア大学のウリケ・シェーデ教授も日本の小さな企業の強さをYouTubeで話しておられます。日本の企業は、技のデパート舞の海を目指すべきだとも言っておられます。
このように見てみると日本の経済を引っ張っているのは優秀な技術を持った中小企業が多いということが分かってきます。アップルのスティーブジョブスは、このような日本の中小企業が持つ技術を理解していて、国内の金属洋食器の90%以上を生産している一大生産地、新潟県燕市の江戸時代から続く伝統的な金属加工技術をあのiPod classicの美しい外装に選びました。
日本はコストを考えず、とことん技術を追求する資質が高いのかもしれません。逆にアメリカにいる数万人に一人の天才は、そのような日本の変態ともいえる技術を使いこなすことに長けているのかもしれません。そしてそのようなニッチ商品を作るには、中小企業のほうが身軽に動けるということもあるように思います。
ここまで書いてくると、昔から言われているジョークが思い浮かびます。
- 日本軍は兵士が優秀、士官は平凡、将官は無能。
- 最強の軍隊はアメリカ人の将軍・ドイツ人の参謀・日本人の兵隊。
- 最弱の軍は中国人の将軍・日本人の参謀・イタリア人の兵隊。
軍隊としては、日米安保のアメリカ軍と自衛隊のタッグは最強に近いかもしれません。
今後の日本を考えれば、千人に一人の将軍になれるような変わった人間が生まれるような素地として「多様性」を認めることも大切です。兵士だけで勝てる軍隊は作れず、兵士と将軍の役割は違うので兵士からたたき上げの職人では、大きな戦争の勝敗を決めるような大胆な発想ができないのかもしれません。日本人の考え方が画一的なのは、出る杭が打たれる部分にもあると思うので、とんでもない思考を持つ人の才能をつぶさない社会が必要なのでしょう。
アメリカは私の個人的なイメージとして、天才が社会をけん引していけばいいと考えている気がします。医療保険のシステムがそうであるように何かあっても、それは個人責任ということで済ませてしまうのです。これでは弱者はたまったのもではありません。
日本人は一つのことに集中して打ち込むことができる資質を持っています。何気ない現象に興味を持ち、それを楽しむような性格があの芸術品のような日本刀を作り、Discoのような企業はダイヤモンドの次に硬いといわれるSiC(炭化ケイ素)を切り出し半導体を製造する技術を作り上げ世界シェア70~80%をとるに至りました。Discoはもともと砥石を作る企業だそうです。今回、日本の経済の強さを見てきましたが、それは一つのことに打ち込んで研究する日本人の性質が生かされているのかもしれません。
経済的に見て日本企業が世界の中でダメになる理由は見当たりません。あるとすれば、強い権力を持つものが強引に何かの方向性に引っ張る時なのかもしれません。一人一人の資質が高い日本人は、烏合の衆でいることが最良の結果を作るかもしれません。寿晃整骨院も最強の烏合の衆を目指して、一人一人の施術スキルを磨いていきたいと思います。
寿晃整骨院 総院長 木下広志