https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_423.htmlより、画像を拝借
寿晃整骨院では、体の痛みに対する施術が得意分野になっています。腰痛で来院される方、首が痛くて来院される方。多くの方に信頼してご来院いただいております。本来ならここで、ありがたく思って…と書きたいところですが、痛みを訴えておられる患者様のことを考えると、その方に苦しみが発症したことを喜んでいるようで、ありがたいとは言えません。
整骨院によく来院される方が持っている痛みは、ケガをして筋肉、骨が損傷したことによる警報だということができます。しかし、よく考えてみると頭痛や腹痛などケガをしていないのに警報システムが作動することもあります。
国際疼痛学会(IASP:International Association for the Study of Pain)による痛みの定義は、2020 年にほぼ40年ぶりに次のように改訂されました。
組織損傷が実際に起こった時、あるいは起こりそうな時に付随する不快な感覚および情動体験、あるいはそれに似た不快な感覚および情動体験。
“An unpleasant sensory and emotional experience associated with, or resembling that associated with, actual or potential tissue damage”
(↑Google Chromeで、日本語訳を簡単に見ることができます。「pain」の項を見てください。
1979年版とほとんど違いはないのですが、新しい定義では「痛みには、組織損傷以外の影響もある」ということが、概念として入ることになりました。そして痛みの訴えは言葉だけではなく、様々な体や心の反応として現れるので、人間はもちろんですが、人間以外の動物の痛みを感じていますよといったことが書かれています。
難しい言葉が並びますが、「痛み」は組織損傷が起こった時の不快な感覚であり、それは情動という精神的な影響があるという意味だと考えていいと思います。
次に急性と慢性という言い方を病気の症状のためによく使います。痛みにも急性疼痛と慢性疼痛というものがあり、慢性疼痛の定義は以下の通りです。
持続する痛みが、3ヶ月以上持続、または再発する痛み
解りやすく書かれた日本語のホームページ
このように痛みには、ケガによる骨や筋肉の損傷からくる痛みだけではなく、様々な原因による痛みがあることが分かります。現在、世界的に医療界において痛みがトピックになっています。これはうがった言い方をするとお金になるからだと考えています。医療の分野で一番お金になるのは、「薬」です。オピオイドという麻薬性の鎮痛剤が世界中で売れていて、本当に痛みのある方には、依存性は起こらないといわれているのですが、人間は痛みを恐れるので、痛みがないのに飲んでしまい結果としてたくさんの依存症を作っているといわれています。
痛みを恐れることは、脳の一部の疲労を生んでしまい、結果として痛みを増強します。このブログの題名を -「安心」の大切さ- としたのは、痛みの原因を知り、安心することだけでも痛みは減少することがあることを知って欲しいからです。もちろん、警報としての急性疼痛の処置は正しく行わなければなりません。そして慢性疼痛であるからと言って体の異常を見逃してはいけません。
私はずっと痛みに興味を持って勉強してきましたが、それに見合った患者様が来院してくださっているように思います。先日も大変お世話になった野球関係者の方から5か月前のケガで頚を手術した患者様を紹介いただきました。毎朝、目が覚めるようなような痛みが両手にあるそうです。
脊椎の手術をされていると伺ったので、両手の麻痺や感覚障害も疑っていましたが、その方は運が良く、その症状はありませんでした。私の施術としては、痛みの部位への軽いマッサージと頭の反応点に鍼をさせていただきました。2回目に来院されたときには、痛みが半分以下の40%程度になったと伺いとてもうれしく思っています。痛みがあることは不幸なことばかりではなくて、そこが生きている証明であること、そして今回のケガは本来ならもっと深刻な症状があってもおかしくなくて、その方の運がいいことをこの方にお伝えしました。そんなことからも自分の症状の不安が減り、安心できたのかもしれません。
そうしていると、突発性難聴や線維筋痛症の方の来院予約が入りました。もちろん医師の治療を受けておられます。医療の隙間を埋めるニトリのすきま家具のような存在でありたいと思います。今回ご説明した患者さんは3人とも整骨院での健康保険は使用できず、自費で鍼灸施術を行っていることを申し添えます。
一人でも多くの方の苦しみをとりたいと考えています。寿晃整骨院をよろしくお願いします。
寿晃整骨院 総院長 木下広志