間もなく、菅内閣総理大臣誕生

 

菅自民党総裁が決定し、国会の衆参両議院がそれぞれ独立して菅総裁を内閣総理大臣として首班指名する運びとなりました。この後、各大臣を任命し内閣を構成します。天皇陛下は、国事行為として内閣総理大臣を任命し、そして内閣総理大臣が任命した各国務大臣(外務大臣や財務大臣など)を認証します。

 

任命と認証は、少し意味合いが違っていて任命はその字の通り、日本政府のことを任せたという意味で、認証は、内閣総理大臣が任命した大臣を認めますという意味になります。私は柔道整復師を養成する学校で10年以上の間、関係法規を教えていたので、憲法の中にあるこのような記述を少しだけ知っています。

 

柔道整復師の国家試験では、各年230問の4択問題が広い範囲から出題されていたのですが、さらに今年度から250問に増えたとのことです。この中に関係法規という科目があり、年に10~15問程度出題されます。ここに数年に一度、憲法の問題が出題される年があって、めったに出ないので過去問にもあがっておらず大変です。

 

 

消費税が必要な事情

 

 

さて、菅さんは自民党総裁選の間に、消費税について将来は上げざるを得ない。しかし、安倍前総理が言ったとおり、10年は上げる必要なないだろうと、どちらにでも取れる言い方でお話をされました。

 

消費税は、面白い性質があって、例えば、一般の消費者が、車を買うとします。車の消費税率は10%なので、車屋さんは100万円の車に消費税を加えて110万円で販売します。車屋さんは、仮に50万円で車をメーカーから仕入れるとメーカーは消費税を加えた55万円で車屋さんに売ります。

 

この車屋さんは、消費税を5万円払って、10万円預かりました。なのでいったん10万円の消費税を納税するのですが、5万円は還付されます。

 

ややこしいですね。車屋さんはほかにも消費税を払っているので、例えば100万円の工具を買ったとすれば、この工具の消費税10万円も還付されます。車の販売が1台ということは無いでしょうが、この場合、10万円払って15万円還付されることになります。

 

店舗の建物などは1億円以上するので、車1台が売れ10万円の消費税を預かった場合、消費税が1000万円還付され、国税庁から差額の990万円還付されます。

 

さらに、TOYOTAなど大企業が、海外に車を販売し輸出した場合、海外への販売は消費税対象外なので、国内で払ったすべての車製造にかかわる消費税と国内で販売した車(海外に輸出した車の分は除く)の消費税の差額で消費税の金額が決定します。

 

だから、正直なところ、輸出で稼いでいる企業にとって、消費税率が上がっても還付される消費税が増えるのであまり関係ないのです。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68396

 

このような企業がコストを下げようとすると、人件費を下げようとします。人件費には、従業員が払う社会保険費や厚生年金保険料が含まれており、ざっくりと30%は取られます。この金額は、企業と折半されているので同額が企業の負担となっています。つまり給与額を50万円としたら、企業が支払う人件費は57万円です。企業は約7万円の社会保障料を給料とは別に支払って、従業員は給与額50万円から社会保険料と厚生年金の合計額約7万円を引かれて手取りは約43万円となるのです。

https://the-owner.jp/archives/412

 

高齢化社会の中、労働者の社会保障料の料率はどんどん上がっています。正直なところ、この料率で限界に近いのです。これ以上あがれば、労働者は働く意欲を無くすか、企業は人件費の安い海外に移転するでしょう。また、法人税も同じ理由で海外に比べあまりに高いと日本の企業を置く理由は無くなってしまい、移転が進み、空洞化が避けられなくなります。

 

 

輸出の率が高い大企業にとって消費税を上げて社会保険料に転嫁することは、企業のコストを減らす方法の一つと言えます。彼らにとって消費税を上げることは、企業戦略として正しいのです。

 

輸出の大きな企業と国内のみの中小企業では、考え方が大きく違う理由がわかります。中小企業やコロナで大きな被害を受けた飲食店は、消費税による消費減に苦しんでいます。

 

先ほど車の販売の話を書きましたが、車の国内消費についてはエコカー減税で消費税増加分の半分くらいは免荷されています。新聞業界も増税を免れていますよね。世の中には与野党、左右を問わず、大変頭のいい人たちがいて、日本を動かしていることがよくわかります。

 

寿晃整骨院 総院長 木下広志