私の鍼灸の師匠であるH先生は、
個展を大阪の百貨店で開く画家であり、
仏教を深く信仰する僧侶であり、
なんでも鑑定団にいつでも出せるような
骨董をたくさん持っている先生でした。
鍼灸の本棚には、中国語で書かれた
黄帝大経素問・霊枢という
漢方医学の専門書がずらりと並んでおり、
中を見るとたくさんの線引きがあって
研究の後を見ることができました。
先生はいつも季節ごとに
今の頃に起こりやすい病気の話をされ、
寒い時期には膝が痛くなるもので
その理由はこうだ。
という説明をしてくださいました。
陰陽五行説という東洋医学の考えによる
説明が多かったのですが、
20才頃の私にはちんぷんかんぷんで、
先輩方の会話を聞きながら、
いつかは僕もこんな会話に
付いていけるようになるかと
あこがれていました。
今の時期、寒さもあって本当に
膝の痛い方が増えます。
私は運動器系を中心に考えるので
寒い時期に外に出ることをせず
膝をたたんで長時間座っていることの方が
悪いのでは無いかと考えています。
腓腹筋というふくらはぎの筋肉が
動きを悪くして膝がしっかりと伸びないので
関節に負担をかけ組織に痛みを生んでいると
私は理解しています。
もちろん全ての患者さんが
そうだとは思っていませんが、
そのような患者さんが多いのも
事実です。
もし、自分がそのように思えたら、
上向きに寝て身体を伸ばしたときに
痛みのある膝とそうで無い側の膝の
伸び方が違っていないでしょうか。
もしそうであれば、ふくらはぎの筋肉の動きが
悪い可能性があります。
痛みの場所は膝の裏側か膝内側の少し下に
あるでしょう。
裏側の痛みはふくらはぎの筋肉の腱にあるか、
太もも裏の筋肉の腱にあると思います。
内側の少し下にあれば、鵞足といわれる
部分の痛みかもしれません。
鵞足炎といいます。
意外と高齢者に多く、
しかしながら膝が内側に入る癖のある
スポーツ選手にも見られる症状です。
先日70代の女性がこの症状を訴えて
来院されました。
膝内側の少し下、鵞足の部分に圧痛があります。
そして膝を伸ばしてもらうと完全に伸びず、
膝下に6.5㎝の隙間がありました。
そこでもちろんストレッチを含めた
筋肉の動きをよくする施術をするのですが、
その前に自分でトレーニングをしていただきました。
私が考案し特許を取ったトレーニングマシンです。
このトレーニングをした後に膝の伸びを再度計測してみると、
6.5㎝→2.5㎝に膝裏の隙間が減っていました。
もちろん痛みも減っているのでよかったと思います。
3回ほどの施術で痛みが取れたので
すでにこの方は来院しておられませんが、
膝が伸びない方は膝を伸ばすストレッチを
してみられることをお勧めします。
寿晃整骨院 総院長 木下広志